結婚して五年がたつのに、ビッキーは夫ケイレブに自分のすべてを解放できないでいた。
厳しい祖母に育てられたせいで、ベッドのなかで思うままにふるまえないのだ。
こんな私を、ケイレブは本当に愛してくれているのかしら。
だがある深夜、夫の出張先のホテルに電話したビッキーは、電話の向こうにケイレブの秘書の声を聞き体が震える。
ケイレブにほかの女性が? 呆然としつつも、ビッキーは決心した。
きっと、彼をもう一度私に夢中にさせてみせる。
リーニーは目の前の男性を信じられない思いで見つめた。
一年前に出会い、情熱だけの数週間のあと、私の前から去っていったフランク……。
あれ以来、私はずっと忘れられなかったのに、彼は連絡さえくれようとはしなかった―― 私のおなかに、新しい命が宿っていたことも知らずに。
だが、その後リーニーが一人で産み、育ててきた息子が数日前に誘拐された。
事件を聞きつけ、かけつけてくれたというフランクに、触れようと手を伸ばしたリーニーに彼は冷たい声で言い放った。
「息子の存在を隠していた君を許すことはできない」アンは一族の宿敵と教え込まれてきたブラッド・アービングに、幼いころから惹かれていたが口に出せずにいた。
ある夜ナイトスキーに出かけた彼女は、雪崩に巻き込まれて崖の岩棚にひっかかり途方に暮れていた。
そこへブラッドが現れて彼女を救い出す。
悪天候のなか、二人は近くの建物で暖をとりながら救助を待つが、やがて抑えきれない情熱に負け、夢のような時間を過ごした。
ようやく彼と結ばれた―― そんなアンの喜びも長くは続かなかった。
迎えにきた父親が、断固として二人を許さなかったのだ。
壮麗な屋敷に住み、宝石や華やかなドレスを身にまとい、とびきりハンサムな夫の横で微笑を浮かべる。
傍から見れば、ジアンナほど幸せな女性はいないかもしれないが、真実は違った。
ジアンナたちの結婚は、両家がともに築いた会社を維持するための便宜結婚にすぎない。
彼女のほうは夫フランコに十代のころから恋心を寄せていたのに、フランコにとってジアンナは、見せかけの妻でしかなかった。
それでもいいと、ジアンナは自分に言いきかせてきた。
こうしてフランコの隣に一生いられるのだから、と。
しかし、ある女性の出現が状況を一変させた。
ミランダは過去を忘れるために故郷イギリスを出てギリシアの小さな島カルモスにやってきた。
国際的バイオリニストとしての第一歩を踏みだした矢先、交通事故で演奏家生命を断たれ、マスコミに騒がれた。
誰にも注目されず、たった一人で再出発したい―― それが彼女の望みだった。
ところが島を訪れて間もなく、運命は急転する。
巨大企業(サヴァキス・シッピング)社を牛耳るセオ・サヴァキスが情熱的なアプローチをかけてきたのだ。
セオの本当の思惑も知らず、ミランダは彼に惹かれていくが……。
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